危機感。

世界が揺れいる。

タイでの反政府デモ隊による暴走。
ようやく沈静化の兆しを見せ、電力や水の供給も再開したというが、
情勢の混乱で、現地の日本企業も軒並み業務停止をくらった。

一方、南欧を震源地とする欧州の経済危機に歯止めがかからず、
欧米で金融規制が強化されたことで、世界の主要市場で連鎖危機が起きている。

米中も大きな打撃を被ったが、
日本も例外無く円高で軒並み輸出関連企業の株安に繋がり、
日経平均の株価下落率は、震源地ギリシャに匹敵した。

もはや世界のどこかで揺れが起きると、
世界中への連鎖反応があるのは避けられない。

しかし、メディアの業界はどうか。

金曜日の日経朝刊一面を飾った、googleとSONY(及びIntel)の提携発表
このblogを読んでくださっている方々であれば、「あ、発表した。」という印象か。

例えば、テレビ画面で、インターネットやYouTubeを見られるのはもちろん、
「Android OS」と、web閲覧ソフトの「Chrome」がテレビに内蔵されることで、
「ワールドカップ」と検索すれば、テレビ番組に限らず、
YouTubeやインターネット上からもそれに関連した“動画”を検索できる。

またそれを操作するのは、従来のリモコンではなく、
Android OSの入ったキーボード付きのリモコンであり、スマートフォンである。

勿論その番組を、スマートフォン等の携帯端末に持ち出す事も可能である。

ただ、

今年の秋に発売(日本での発売は未定)したからといって、
著作権的観点からも、直ぐに全ての世界が実現するとまでは、さすがに思っていない。

なぜならば日本に限らず、
アメリカのテレビ局も古き良きビジネスモデルからの脱却は未だで
「たとえGoogle、Intel、ソニーといった大手3社の協業であっても、テレビ局などの既得権者を説得するのは容易なことではなく、テレビの領域で一 朝一夕に変革を起こせない」というのがある程度の見解である。
(※ 「」内、Techwave.jp 湯川鶴章さん 執筆の記事より抜粋)

しかし、
メディアの世界に於いて、
このニュースが大きなショック的意味合いを持つことには変わりはなく、
その時代が直ぐには来なくとも、じりじりと迫ってきてるのは間違いない。

実際、アメリカでいま最も売れているテレビは、SONYでもSamsungでも、LGでもなく、
VIZIOのテレビである。
このVIZIOは社員がわずか130人程度、自社工場すら持っていない。
韓国から、日本から、アメリカから・・、
世界中から安くていいパネルや部品を集めてきては、それらをアウトソーシング製造し、
販売チャネルをネットとウォルマートなど量販店に絞ってコスト削減。

出来上がったSONY顔負けの47型LEDテレビは、なんと$1400という格安である。
(日本では唯一、コストコで買える。
これからはビックカメラでもヤマダ電機でもなく、テレビはコストコで買うのがいい。)

そんなVIZIOのテレビの最もすごいところは、ネットTVであること。

(日本のスライド携帯のように)キーボード付きのリモコンで操作をし、
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WiFiに繋がり、それぞれの専用アプリでFacebookやtwitter、Flickrで写真を見る事は勿論(それもテレビを見ながらマルチ画面で)、
NETFLIXでビデオを借りる事も、
PANDORA radioを起動させれば自分の好きな音楽と似た音楽を自動で流してくれる。


VIZIOのCM。ネット融合型テレビだということがよくわかる、秀逸なフィルムである。


つまりテレビとネットの融合は既にここまできている。
テレビ局がああだこうだ言おうと、その時代は遅かれ早かれやってくるのである。

日本でも金曜日の大々的な発表は、(珍しく)テレビ番組でも扱われ、
報道ステーションでは10分程度の尺を取って、番組の冒頭に特集した。

が、それは実に皮肉なものだった。
司会の古館さん、ましてやコメンテーターの鳥越さんの解説は、
新しい時代への拒絶反応にも似たコメントで、
逆に言えばのうのうと放送波の既得権益に守られてきた業界の方々(鳥越さんは元新聞畑だが)から発せられる、ごく自然な反応であったともいえる。

しかし問題はもっと根深い。特に広告業界は。。
googleTVを実現させて、
googleが最も狙っているのは広告ビジネスの領域を牛耳る事である。

既に世界中のネット広告の“世界”を支配したgoogleが、次に目指すのは、
テレビやモバイルを含めたデジタル領域全ての広告プラットフォームの支配。

冒頭に例を出しように、googleTVで「ワールドカップ」と検索すれば、
それに関連するサッカーやスポーツのCMやテキスト広告が流れるのは目に見えている。

とすれば、なにが起こると言えば、
(少なくとも日本の場合は、)広告代理店不要論である。

テレビのスポットCM枠をバーンっと押さえて食べてきた、
日本の大手広告代理店。

上層部は次々に新時代への手を打ち始めているが、
会社全体で次ぎなる未来を描けているかといえば、それは甚だ疑問符である。

実際、日本最大手の広告代理店で、渦中であるはずのテレビ局担当の現場のヘッドは、
twitterも使ってなければ、Androidが何かすらも、
今回の提携の話にもさほど興味なく、VIZIOのことなんか知る由もない。
これがリアルである。


つまり、世界の揺れに気付けていない、
もしかすると気付かないフリをしているのかもしれない。

先日発表された決算では、
多少の回復傾向が見られた日本の大手広告代理店各社。
今年はW杯と参院選挙の当たり年ということもあり、もう少し回復するだろう。

しかし、収益の1/3以上を担うテレビ業務が、
2011年7月24日付けで地上デジタル放送化される、という規定事実は、
もう目前まで迫っている。

僕は現在大学院に於いて、地上デジタル放送化に向けて、
3つのプロジェクトを総勢200以上の民間企業及び、国とともに進めている。
(200の中にはテレビ局、広告代理店各社も入っている)

放送波にIPを乗せ
放送波で一斉同報的に活字メディアの配信を実現させ
街中の電子看板をネットワークで繋ぎ
それを携帯電話で操作できるようにする・・
それらは全て、既存のメディアインフラを徹底的に使い倒して新しい情報の発信・提供機会を創出することに他ならない。

ネット(IP)とテレビの融合、
通信と放送の融合を、全力で推し進めているのである。

デジタル化されれば、コンテンツの拡充により、
番組一本の需要が相対的に下がり、無論テレビ広告価値が下がることは言うまでもない。
そしてgoogleTVや、VIZIOのようなテレビの登場は、
テレビのスポット広告の需要減少に拍車をかけるだろう。

つまりこの世界の激動の潮流に気付けない限り、未来は大変険しいが、
今のところ、情勢や金融、経済のようなパニックは、日本には起こっていない。

こんなことを言っておいて、自分は何をかくそう、
来春から某広告代理店で働く身である。

従ってこの提言は自分自身に対してでもあり、
危機意識、そして時代の潮流に細心の目配り、大胆な行動を持つことを肝に銘じる。

でないと、5年後に自分が飯を食えているか分からない。
それくらい大きな危機感を持っている。

マーケティング理論、広告論、
そんな生易しい机上の空論も通用しない、
理論とリアルと実践力。その全てが問われるのである。

だってこれだけ激変していますから・・。

世界は揺れている。
しかしメディア業界はもっと揺れている。
そしてその中の広告ビジネスは、大揺れである。

グローバルに、フラット化する世界に於いて、
正も負も、世界中への連鎖反応があるのは情勢や金融、経済に限った話ではないはずだ。









「今日の一枚。」
45年ぶりの歓喜を成し遂げた、インテル。
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決勝の地マドリードに辿り着いた両チームには、
レアルマドリードを追い出された選手達が多数いた。
しかし彼らは未だに自分たちが世界のTop of Topであることを自ら証明してみせた。

当のレアルマドリードは、今年“新銀河系”軍団を構成するも、ベスト16で姿を消した。。

サッカーの上手い選手はお金で買えても、
勝利の美酒だけはお金では買えないようである。
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by shibapiero | 2010-05-23 06:41 | feel

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