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極寒に桜咲く

8日から本格的にサッカー部の練習が再開した。そして、今日から3日間トライアウトという形で、スタッフ全員が見守り、紅白戦でふるいにかける。1年で最大のチャンスと言っても過言ではない、この3日間を僕は、怪我(年末に手術した箇所が完治していないため。ちなみにギブスは取れた)のため棒に振ることになった。

「歯がゆい」とはこのことなのか、これまでのサッカー人生において、まともな怪我をしたことのなっかた僕は、初めて怪我でサッカーができないもどかしさを味わっている。なんとも苦くいこの味は、アスリートなら誰もが舐める苦汁といったところなのか。 

そんな中、今日からアスリートの祭典、冬季オリンピックが開幕する。イタリアのミラノに並ぶ北の都市。トリノ。この街はとにかく寒い。しかし、ミラノほどの人混みがはなく、スピードスケートの岡崎朋美は「(今までの遠征先の世界中の中で)どれもいい街だったけど、住んでもいいかなと思ったのはこの街だけ」と言う様に、評判のいい街だ。サッカーの名門、ユベントスのホームタウンンとしても名高い。
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僕は純粋にこのトリノオリンピックが楽しみだ。小学校~中学2年くらいまで、半ば本格的にスキーをやっていい身としても。あの頃はよく高岡兄弟、田中真奈という幼馴染と、4人でゲレンデを滑走した。技術のユウスケ、スピードのシンスケを追いかけるように、シンヤが滑り、そしてマナが続くという図式はいつしかお決まりになっていた。しかし、現在まともにスキーを続けているのは真奈一人。すこし残念だ。今、彼女はスキーインストラクターを目指している。頑張ってもらいたい。
話はだいぶそれたが、そんなこともあって、、夏のオリンピックよりも個人的には好きなのだ。

今でこそ、国民的アイドルといえば安藤美姫であるが、98年長野オリンピックで一躍国民的アイドルになった二人のアスリートがいる。岡崎朋美と里谷多英だ。前者は日本女子短距離初の銅メダル、後者は世界を激震させた完璧なターンでこちらもスキー日本女子初の金メダルを獲得した。そんな彼女達も34歳と30歳、オリンピック出場4回、3回とベテランである。岡崎は日本選手団の主将にも任命された。そんな元・国民的アイドルの二人にクローズアップした短編コラムをお送りしよう。

岡崎朋美。

94年リレハンメル、98年長野、02年ソルトレイク、そして06年トリノ。
自身2回目の長野で見事銅を獲得している。しかし彼女は長野の滑りに納得してはいなった。後に「スケートをうまく履きこなせなかった」と語っている。大会後、岡崎朋美の名は日本中へと広まった。そのルックスと朋美スマイルと称された100万ドルの笑顔は、自国開催で盛り上がっていた日本においても特別の存在だった。ただ彼女は自分を見失うことなく、納得できなかった滑りの改善のためにスケートに没頭した。
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長野から1年後。彼女は椎間板ヘルニアと勧告される。
椎間板ヘルニア、アスリートにとってこれほど聞きたくない病名もそうないだろう。慢性的な腰の痛みを伴い、手術なしには完治は不可能、手術をしても元のコンディションまで回復させるのは極めて難しい。引退の道もあったはず。この時、岡崎28歳。オリンピックでメダルも獲った。年齢、実績から考えても花道を。という筋書きも普通なら悪くはない。岡崎は、全く悩まなかったという。手術して、現役続行。これが、どれほど苦しい道かは彼女が一番わかっていたはずである。腰を手術したスケート選手が、第一線に復帰した例は過去になかったというからだ。しかし、彼女は「いばらの道」を選んだ。もちろん、術後の成績は全く振るわなかった。周囲では「岡崎はもう終わった」いつしかそんな言葉が囁きだした。

「怪我から学ぶことはたくさんある。」 怪我を乗り越えて復帰した選手の多くが口にするフレーズである。

そうは言うものの、怪我が回復するまで、リハビリの期間、自分を奮い立たせることが、どれほど難しく、どれほど孤独なものなのか、痛いほど今の自分はわかる。まして私の怪我は幸い完治が見えている。あと1ヵ月半もすれば、痛みこそ残るものの復帰はできそうだ。それに対し、彼女の椎間板ヘルニアは完治が見えずらい。しかも、メスを入れてから復帰したスケート選手はいないという“常識”がある。 

2005年1月。W杯。表彰台の真ん中には、岡崎がいた。
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不屈の精神力とはこのことなのか。私が愛してやまない、元サッカー選手はこう言った。 「私がここまで現役を続けられたのは、ただただ情熱があったからなんだ。」情熱。彼女をここまで走らせたのは、間違いなく情熱であろう。「スケートが好きだ」この純粋な気持ちが世界の頂点まで彼女を押し上げた。




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4度目のオリンピック。 もう怖いものは何もない。
「魔物さん、どうぞいらっしゃい、手の平で転がしてあげるわ」
先日の記者会見で、鼻かぜだと告白した彼女だが、私は全く心配していない。
日本国民に、バレンタインを。朋美スマイルが極寒トリノの街に凛と咲く。


女子スピードスケート500m 2月14日 24:00~ (日本時間)




里谷多英。

長野で金、ソルトレイクで銅。見事な実績だ。
モーグルといえば上村愛子と里谷多英。上村はW杯でも2勝しており、今大会の日本の“顔”と言っても過言ではない。金メダルの本命の一人であることに間違いはない。
一方の里谷はどうだろう。あの事件以来、歯車がずれてしまった。日本代表選出も、実績を買われてのものだった。メディアへの露出が上村より劣るのも無理はない。
極寒に桜咲く_a0049167_1072210.jpg長野の滑りを私は今でも覚えている。完璧なターン、無駄のない滑り、そして抜群のタイム。コブ斜はほんとうにムズイのだ。膝のクッションを使い、コブとコブの間を滑っていく。これが里谷はずば抜けて上手い。エアは上村には間違いなく劣る。そのことは本人も十分わかっている。しかし、天才的なあのクッション、男子顔負けのキレのある滑り。私は早く見たくて仕方ないのである。



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もしかしら、金は難しいかもしれない、上村はコークスクリュー720という体をくねらせながら回転する男子顔負けの大技をおそらく成功させるだろう。他の並み居る強豪も見事な3Dを決めてくるはず。でも里谷にはスキーがある。 昨日の記者会見で「後悔しない滑りをしたい」と語った彼女。おそらく彼女の最後となるであろうオリンピックの晴れ舞台。


「やっぱり、多英はすごかった!」日本中がそう、歓喜するだろう。

私は確信している!
「里谷!3大会連続のメダル獲得!!」そう、実況が狂喜乱舞することを。

二人のベテラン、いや二人の大和撫子の笑顔。
トリノで一足早く、笑顔という名の桜が咲く。


頑張れニッポン!!


女子フリースタイルモーグル 2月11日 23:00~ (日本時間)

by shibapiero | 2006-02-10 09:59 | 柴崎スポーツ コラム編

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